銀河バンク


“不動産投資利回りは、下がって行く?”
平成26年3月4日

日本の不動産投資市場で、「Jリート」の割合はまだ僅かですが、形や規模を変えながら再び活性化してきているようです。
世界の投資家も、日本の収益不動産の「安全・安定を再認識」し始め、香港の賃料より3割ほど安くなっている都心部のオフィス等への投資割合を増してきているとのことです。
今後、機関投資家の注目は、「利回りの予測値」と言われます。

バブルの最盛期に、私たちが都心に提供していた投資不動産の利回りは、2~3%余りでした。
それでも、取り合いになる程の需要がありました。
購入資金は、高騰した所有物件の売却益と長期ローンが一般的でした。
その頃のローン金利は、都市銀行が5%台、ノンバンクは14%くらいでした。
当然、返済金は不足しますが、年2割以上ものキャピタルゲインがあった頃でしたから、担保余力のある資産で次の融資を受けて充当していました。
このバブル経済は、土地価格の急落と賃料の下落により崩壊しました。
キャピタルロスの正確な報道が難しいケースが多いこともあり、資産デフレは長期化し、今日に至っています。

その教訓から、今は、「投資不動産の評価ベースは利回り」と考えられています。
そのベースとなる賃料は、リーマンショックと東日本大震災という試練を受け、「平成24年末が底だった」と見る方が多くなってきました。
私たちが携わっている都心部の低層小型ワンルームも、大震災により、安全基準が益々厳しくなり、取り壊しが加速しています。しかし、供給は激減しています。
少子化の中でも、人口増が続く東京では、都心部のワンルームが「過剰在庫から供給不足となってきた」とみています。
シンクタンクの中長期賃料予測でも、「すべての用途で賃料上昇」は、共通しています。

一方で、建築代の上昇に加え、将来にわたって入居者が見込める地域の地価も上昇しています。
私たちは、賃料は上昇しても、「利回りは7%以下になって行く」と考えています。
不動産投資される方から求められるのは、「資産価格×3%(所有経費)+10年国債利回り以上」ですが、フルローンで購入するための、7%以上の利回りは難しくなってきました。 ワンルームの賃貸取引は、3月がピークですが、2月末現在、私たちが提供しているアパートの入居率は、目標の95%以上になっています。


“建築代が急上昇”
平成26年2月1日

渋谷・新宿・高田馬場・池袋駅周辺には、「お部屋探し」看板が一際目立つようになりました。
都心の賃貸市場は、ほぼ8割の取引がこの時期に集中するからです。
アパート経営をされている方も注目される時です。

私たちが提供している、低賃料物件の今年の出だしは、近年では最も好調です。
長い間下がり続けていた賃料が、物件の不足により「下げ止まった」と確信しました。

都心部の低層木造アパートは、都市計画による防火・新防火に加え、安全基準が引き上げられ、耐震・防火対策を、行政が厳しく指導しています。
対応できない古い建物の取り壊しが急ピッチで進んでいます。
同時に、自治体のワンルーム指導も強化され、新規着工は6年前の1/3以下(報道)か、それ以下になっています。
そんな中でも、ワンルームの利用者である若年層の都心志向は増え続けています。
当然、今後は更に不足することが考えられます。

一方で、東日本大震災後、じわじわ上昇し続けていた建築費は、昨年から上昇幅が拡大してきました。
理由は、
安全基準の見直しによる指導強化
東北復興需要にオリンピック・パラリンピック関連需要が加わった
・ 円安による輸入材の高騰
職人不足(低賃金労働者含む)による人件費上昇
等が重なっているからです。
急を要する公共工事の入札不成立が多いことから、深刻な社会問題になりつつあります。
とはいえ、建設工事業者は、資産デフレと長期不況による企業淘汰で、生き残った企業は、赤字工事は請けませんし、利益減少傾向を心配しています。
今後、建築費は更なる上昇はあっても、下がる見込みはないと考えます。

都心のワンルームが不足してくることは、別の角度から見ても鮮明です。
前記自治体のワンルーム規制の目安は25m2~30m2です。
この規模の部屋を民間で提供するには、
設備を加えた建築代が、共用部分を専有面積に按分すると、m2単価25万円~30万円程度になります。それに必要な土地代は、m2に換算すると40万円以上になります。
特定の場所を除いて、25m2の住居の取得原価は1,500万円以下ではできません。
現実は、取得費が2,000万円以上になる場所でなければワンルームの入居者は減少傾向です。
2,000万円以上で取得したものに、不動産の維持管理費を考えると、月額賃料10万円以下で提供されるオーナー様は、私たちの調査では現在はほとんどおられないと思います。
安全基準を満たしていない古い建物がなくなれば、都心では、10万円以下のアパートはほとんどなくなります
自治体によって方向が違っているとはいえ、5万~6万円の賃料で生活しておられる若い方々がいなくなければ、災害時等の対応はできないことを重く受け止めなければいけないのではないでしょうか。

就労のミスマッチと言われていますが、地方には“電気ノコもパソコンも使えて”、“材木がかつげる”方々がまだおられます。
私たちは、内需拡大・地方の活性化・国土環境保全のためにも、国産木材の優秀性を丁寧に説明し、活用に取り組んでまいります。


“お山の杉の子”
平成25年12月31日

1、 昔 昔 その昔
椎の木林の すぐそばに
小さなお山が あったとさ あったとさ
丸々坊主の 禿山(はげやま)は
いつでもみんなの 笑いもの
「これこれ杉の子 起きなさい」
お日さまニコニコ 声かけた 声かけた
2、 ・・・・・・
・・・・・・

この歌は、昭和19年 少国民歌の懸賞募集 第1位入賞歌です。
徳島県の吉田テフ子さんの作詞ですが、後にサトウハチローさんが補作されています。
戦後は、焼け跡ソングとなり、日本の林業に携わる人達に影響を与えてくれた歌です。
元歌改修後のものがあり、終戦前後の日本の様子を知ることができる歌でもあります。

今年7月3日付、このコラムでも取り上げましたが、
昭和39年の木材全面自由化
その後の為替レート変動相場制
等が要因で、木材の内需は急降下しました。就労者も離れていきました。
今も、限界集落が増え続けています。
日本の林業再生対策は、防災面も考えると、それほど時間がないのではないでしょうか。

私たちは、「100年住宅は、当たり前」と言われる“日本の木材の価値”を実感していただくための試みを始めました。
今は、地方へ繋がる道路は整備されています(林道を除く)。
都会生まれで、田舎を持たない方々が益々増えている中で、自然の中の自給生活を始められている方の報道も始まっています。
地方へのセカンドハウスで、1年の内、1~2割の時間を「豊かな自然の中で暮らす」流れができてもいいのではないでしょうか。
その受け皿となる地方は、“新しい雇用が生まれる”ではなく、“地域の特性を生かした雇用を生み出す”という強い動きが欠かせないと思います。

日本は、世界有数の“総合資源大国”です。
「石の上にも3年」「匠は一日にして成らず」“地方は匠の宝庫”です。
匠と言われる60~80歳の方々が、どのように生きられるかが、日本再生のカギになるのではないでしょうか。

知恵が人類を育んできましたが、知識が人間社会を滅すことにならないことを願いながら新年を迎えたいと思います。

「どうぞ良いお年を、お迎え下さい。」